「えだまめ」しているラズパイ

30年ぶりに半田ごて握ってラズパイ勉強中。

WROOM-02で静電容量式水分計を作る (9)計測値の補正

◯やりたいこと

静電容量式水分計プローブの出力電圧減少(水分率上昇)現象の対策として温度、時間経過の2つをターゲットに補正係数を求める。

◯やったこと

・温度補正

(8)で作成した水分計、1日走らせてみたら水分率が突然ヒョイと上がる現象が起きました。

朝4:40頃。

実はこれ朝起きて部屋の中が暑かったので窓全開で室内の空気を入れ替えた時に起きた現象。

この日の朝は外の方が気温や湿度が低くカラッとした空気。気持ちいい風が室内に入ってきて湿度も急減、温度もあっという間に3℃程下がったのですが同時に水分率も急上昇。

室温が下がると水分率が上がる、水分率が室温と密接に関係していることをヒョンなことから発見です。
最初は湿度が関係するのかなとも考えたのですが、次の日の朝のデータ。


(水分計グラフと温湿度グラフを並べてみました)

5:30にまた水分率がヒョイと上がっていますがこれももちろん朝の換気による室温の低下。

この日は気温が下がりましたが湿度は上昇。やはり関連しているのは温度の様です。
さらに3日分グラフを並べてみるとその差がよく出てきて、

ガチャガチャと変化している湿度ではなく、上に凸している温度と下に凹している水分率に相関関係があるのは間違いなさそう。水分計プローブだと思っていたのが実は温度計プローブだったと言うオチです。もちろん温度はもとに戻るのに水分率はもとに戻らないと言う問題のある温度計ではあるのですが…。

いろいろ調べてみたら、誘電式の水分計に関してまとめた「筑波大学水理実験センター報告 No8 誘電式キャリブレーション」と言う報告書の中に「プローブの出力電圧は温度に比例する」とのレポートがありました。今回のウチの測定結果と一致しますので温度によりプローブ出力が変化するのは多分間違い無いのでしょう。

そこで今回は25℃を補正値ゼロとして実測値から求めた ±8mV/℃の温度補正値を測定電圧に加える事にしました。気温が1℃下がるとプローブ電圧に8mV加算します。これで温度変化に対応する様にします。

・経過時間補正

問題なのが長期的な水分率上昇傾向。6日ほど走らせただけで水分率が14%も上昇しています。

プローブ周りの土の誘電率が安定するまで時間がかかるのか、プローブの中に水が染み込んで実際に水分率が上がっているのか…。さすがに永遠に上がり続けることはないと思いますのでしばらく置いて様子見してみる事にします。当面はここまでの上昇率から求めた実測値 30mV/日を経過時間に応じて加算してみようと考えてました。

…とジタバタしていたら遂に計測水分率が安定化してきてくれました。グラフを記録し損なったのですが、水分率が給水して飛び上がる前の半日程は上昇が止まり温度変化に対応しているだけになっています。

最新2日分だけピックアップ。

水分率もプローブ電圧もほぼ水平で推移しています。電圧で見ると±10mV程度の変化です。ちょっと一安心。
でもウォーミングアップに6日もかかってしまうとは随分とスロースターターな水分計。静電容量式水分計は測定開始までにたっぷり時間がかかる様です。

◯やってみて

実験により以下の知見が得られました。
1. プローブの測定電圧は温度に比例する。測定にあたっては温度も同時に測定して温度補正する必要がある。
2. プローブの測定電圧が安定化するには数日単位の時間を要する。

プローブ電圧の安定化時間に関しては、土質を変化させてみるのははもちろん、変更する事によって結果に変化が出ていた測定時間間隔、ADC変換の精度なども変化させいろいろなパターンを試してみたいと考えています。

○その後

計測を開始して3週間たったグラフがこれ。

測定開始時には漸増傾向があった水分率も6日目に安定化してからはその傾向がなくなりました。水やりをして水分率が急上昇した後は概ね期待通りの漸減傾向。温度補正値をいろいろと変化させながら現在は±12.5mVに設定しています。全体的に思ったほど水分率が減少していないのが正解なのか不明な点です。実験のため週一行っていた水やりを2週間やらずに観察していたのですが、さすがに植物の方が心配になってきたので「水やらず」実験は一旦ここで終了します。

電池電圧の変化に関しては
1. 電池交換による電圧上昇
2. データ送信先がオフライン時に無限ループに入ってしまうバグがありディープスリープに入れずに急速に消耗
3. 送信データ量を減らしたら電圧がポンと上がった

などによるものです。今後は省電力化の実験も進めていきますが、単4電池の供給能力、WROOM02 に対して少々不安を感じてきてます。

○その後2

長期実験3か月、13週目のグラフです。

寒くなって来たせいか乾燥が進んで水分率が元に戻るまで4週間かかることがわかりました。毎週水まきしていた鉢植えの水、冬は一月に一度でいい事を確認です。
現在電池の持ちをよくするため10分おきの測定を30分おきに変更して様子を見ています。

○その後3

長期実験6ヶ月弱のグラフです。

電池が切れて異常値を記録していたので電池交換のタイミングで現状のレポートしておきます。

○水分率(緑色の折れ線)

順調に測定を開始してからはキチンとしたノコギリグラフが出ています。4山目の刃が丸いのはセンサーから離れたところに水をまいた時の変化で、遠くからジワジワと染みてき来るせいか測定水分率もジワジワと上昇しています。その後他と同様減少に転じています。

○電池の持ち具合(紫色の折れ線)

電池に関しては4種類の実験が終了しています。
1. 最初の小さなトンガリ放電カーブ 単4エネループ3本 10分おき測定→持続日数 2週間
2. 2つ目の放電カーブ 単3エネループ3本 10分おき測定→持続日数 4週間

どうも電池の持ちが悪いので測定時間を30分おきに伸ばしてみる事に。
3. 3つ目の放電カーブ 単3エネループ 30分おき測定→持続日数 2ヶ月

試しにアマゾンのアルカリ電池4本(電池電圧の測定上限を超えてしまいますが)でどれくらい持つかを試してみたところ
4. 4つ目の放電カーブ 単3アルカリ電池(アマゾン) 10分おき測定→持続日数 2ヶ月

ありゃ、電池を4本にして総エネルギー量を増やしたつもりだったのですが持続時間があまり増えていません。アマゾンの電池容量はエネループの4分の3だったようです。5番目としてエネループ4本での持続日数チェックに入っています。

最近いたずらでグラフをWebブラウザ(ラズパイ+Django)で見られるようにしていて、

チェックが楽で助かっています。